本章ノ参 一節「超神聖爆発(ビッグバン)後ノ世界」
ルフィーリア。
君と別れてから、今日で十年だね。
あの子も十歳になったよ。
この前なんか、僕への研究依頼──「子ども向けぬいぐるみ型アンドロイドの自立制御回路」が、
実は軍事転用目的だったことを見抜いたんだ。すごいよね。
賢い子だ。僕なんかよりずっと世間を分かってる。
それに……君に似て、よく笑う。
僕も嬉しくなって、つい余計なウンチクを語ってしまう。
外見は……君に似て欲しかったけど、どうやら僕似だ。笑
でも、あの子の瞳の奥に宿る力強さは──
まぎれもなく君のものだ。多分ね。
君と初めて会った時から、何となく分かっていたんだ。
君が産業スパイだったことを。
けれど、追及しなかった。出来なかった。
君が居なくなることを恐れたからだ。
今になって思えば、それが僕の弱さだったんだろう。
きちんと君の正体と向き合っていれば、話し合っていたら、結果は違ったのだろうか。
君を守ることができたのだろうか。
それだけが、今も胸に刺さっている。
最近、サピエンティア居住区で怪物騒ぎが続いている。
研究所の生体兵器が脱走したと説明されているけれど、あれはトト支部の扱う案件じゃない。
誰かが、裏で何かを動かしているのだろう。
騒動は、あの子とネザーランド家のお嬢さんが鎮圧した。
十歳の子ども二人がだ。
あの子たちの人ならざる動き、そして怪物の異形。
どちらも、あの結晶に記録されていた──
“旧世界の残滓”としか思えない。
……ルフィーリア。
最近、妙な胸騒ぎがしている。
研究所の論文がいくつも破棄され、トト支部の仲間が次々と姿を消している。
家族居住区にも不審者が出入りしている。
誰が何を狙っているのかは分からない。
何が起きているのかも正確には理解できない。
僕は政治や利権のことには疎いから、ただ、研究を続けているだけなんだ。
でも──
“何か大きな力が、僕たちの研究を嫌っている”
それだけは、はっきりと感じる。
君が命を落とした理由も、
僕が今こうして怯えている理由も、
もしかしたら同じ場所に繋がっているのかもしれないね。
この世界がどこへ向かうのか、
僕にはもう見届けられないかもしれない。
だが──
あの子が歩む道が、新しい世界の始まりであることを願う。
どうか、あの子を見守っていてくれ。
どんなに強くても、まだ年端もいかない女の子なんだ。
――✒️ **白銀歴1197年12月6日
ソルエル・ウィアローク(妻の十周忌にて)
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本章ノ参 獄宙変化史 編
一節 超神聖爆発後ノ世界
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📘《霊物・生物史学基礎》
旧世界史・霊長類進化論・悪魔のカケラ応用技術概論 改版:白銀歴1204年9月27日(土)
※本資料は、《ドミニオ・コーデックス》、 《ルルデス・レポート》、 《青イ竹 諜報資料》ほか膨大な調査結果を基に、
世界の成り立ち、霊長類の進化、悪魔のカケラの性質と応用について簡易的にまとめたものである。
目次:
1.旧世界について
1-1. 天獄(てんごく)と地獄(じごく)
1-2. “神”とその創造物
1-3. 旧世界の崩壊と「超神聖爆発(ビッグバン)」
2.宇宙の生物史における「知的生命体 → 霊長類」進化論
3.悪魔のカケラとその応用技術
3-1. 悪魔のカケラとは
3-2. 魔性種生成技術(D‑Series)
3-3. 薬品加工技術
3-4. 武器・防具加工技術(概要)
1.旧世界について
1-1. 天獄と地獄
現在の宇宙が誕生する以前、世界は「霊物(れいぶつ)」のみが存在する領域であり、天獄と地獄の二つに分かれていた。
霊物は以下の二種に分類される。
- 智性体(ちせいたい) :高度文明を持つ霊的生命
- 荒性体(こうせいたい):社会性を持つ程度の霊的生命
1-2. “神”とその創造物
旧世界には二柱の神が存在した。
- 天獄の統率者:天照大御神(あまてらすおおみかみ)
- 地獄の支配者:ディアボレオン
両者は「神通力(現象操作能力)」を有し、森羅万象を意のままに操る全知全能・不死性を持つ存在であった。
神通力の例
- 火・水・風・雷の生成
- 空間の曲げ・圧縮・展開
- 物質の変性
- 生命の創造
ディアボレオンは 信仰心・恐怖心・絶望 を糧に力を増す性質を持ち、天照大御神を超えるため、自らの神通力を分割し以下の存在を創造した。
悪魔(666種)
智性体を恐怖させるための存在。
階級構造:
眷魔幻獣(11)/魔王(40)/悪魔君主(60)/悪魔公爵(78)/悪魔伯爵(98)/悪魔総裁(118)/悪魔騎士(128)/使い魔(133)
天使(333種)
悪魔を討伐し、智性体から信仰心を得るための存在。
階級構造:
主天使(28)/力天使(39)/能天使(50)/権天使(61)/大天使(72)/介天使(83)
闇極魔王(あんごくまおう)(7体)
天使を討伐し、智性体を絶望させるための究極の悪魔。
ルシファー/アスモデウス/ベルゼブブ/レヴィアタン/マモン/ベルフェゴール/サタン
熾煌天使(しこうてんし)(3体)
絶望を“救済”することで、智性体を神へひれ伏させるための究極の天使。
闇極魔王に匹敵する力と、神同格の権限を持つ。
セラフィム/ケルビム/スローンズ
ディアボレオンの「信仰循環システム」
- 悪魔が智性体を恐怖させる
- 天使が悪魔を倒し、信仰心を得る
- 闇極魔王が天使を倒し、絶望を生む
- 熾煌天使が絶望を救済し、さらなる信仰を得る
この循環により、ディアボレオンは天照大御神に匹敵する力を獲得していった。
1-3. 旧世界の崩壊と「超神聖爆発(ビッグバン)」
天照大御神とディアボレオンの最終戦争は、
世界そのものを破壊し、その崩壊エネルギーが 超神聖爆発(ビッグバン) となった。
これが現在の宇宙の誕生である。
2.知的生命体 → 霊長類の進化
旧世界の霊物世界が崩壊し、現世界(宇宙)は生物の世界となった。
その残滓は以下の形で新世界に影響を残した。
- 悪魔・闇極魔王 → 悪魔のカケラへ変化
- 天使 → 知的生命体の進化因子へ
- 主天使の一部 → ドミニオ・コーデックスへ変化
- 熾煌天使 → 生物化し宇宙を彷徨う(詳細不明)
天使の因子を受け継いだ知的生命体は、やがて神通力を発現しうる 霊長類 へと進化した。
ドミニオ・コーデックス(Dominio‑Codex)
主天使(Dominions)階級の一体が結晶化した書物。宇宙の履歴を保持し、国家レベルで厳重保管されている。
3.悪魔のカケラとその応用技術
3-1. 悪魔のカケラとは
Ⅰ.悪魔のカケラ(Demon Fragment)
- 悪魔の力の残滓が結晶化したもの
- 黒色の鉱石状(闇極魔王のカケラは七色)
- 持つだけで微弱な神通力を発揮
- 古代文明では「神の加護」として崇拝
- 強大な悪魔ほどカケラは小型化する傾向
3-2. 魔性種(ましょうしゅ:D‑Species)生成技術(D‑Series)
魔性種は「悪魔のカケラ」を利用した人工的変異生命体の総称であり、主に以下の三系統に分類される。
A. 魔物(Monster)
悪魔の力を“雑にコピー”した劣化体。
- 元の霊長類/獣類の形質が崩壊
- 知性は低い
- 暴走・変異しやすい
- 一度変化すると元に戻らない
- 大量生産が可能だが死亡率が高い
生成薬剤:D‑Mutagen(ディー・ミューテジェン)
B. 魔人(Demonian)
悪魔の神通力を“人間のまま扱う”ための強化体。
- 元の姿を保つ
- 神通力を限定的に使用可能
- 繁殖可能だが神通力は遺伝しない
- 元の悪魔以上には進化しない
生成薬剤:D‑Catalyst(ディー・カタリスト)
C. 魔獣(Beast)
魔物・魔人の枠に収まらない“例外系”。
C‑1. 胎魔獣(Gestation Beast)
卵子に微細化した悪魔のカケラを埋め込み、受精後に異形として誕生した魔獣。
使用機器:Fragment‑Imprinter(フラグメント・インプリンター)
悪魔のカケラを卵子へ刻印するナノマシン。
C‑2. 人造魔獣(Artificial Beast)
人工子宮で遺伝子レベルから魔物化を設計された生体兵器。
使用機器:D‑Bio‑Cradle(ディー・バイオ・クレイドル)
悪魔系生体の人工子宮。
3-2-1. 寄生強化技術(D‑Parasite)
魔物・魔人の戦闘力を強化する寄生生物。ルナルナ王室が把握しているのは以下の二種。
Barbatos‑Parasite(バルバトス寄生体)
寄生された個体:
- Barbatos‑Monster
- Barbatos‑Demonian
Agares‑Parasite(アガレス寄生体)
寄生された個体:
- Agares‑Monster
- Agares‑Demonian
3-3. 薬品加工技術
ネオ‑インビヒト(Neo‑Invihit)
現代のアーク・ワクチン。
霊長類の進化抑制剤として機能し、神通力発現者を減らす目的で世界調和機関WHOが普及させた。
3-4. 武器・防具加工技術(概要)
悪魔のカケラを加工し、神通力耐性・魔性耐性を付与した武器・防具が複数国家で開発されている。
(詳細は別途扱う)
ローズ「ちょっと見てくださいませ!
デズモンド・スペンサー王子……!
1世紀以上前のお方ですけれど、
“王子と悪魔の女性が恋に落ちる悲哀の御伽話《◯◯》”の主役、
デクラン王子のモデルなんですの!」
ブリコ「えっ、そんな昔の人なのに、まだ人気あるの?」
ローズ「ありますとも!
記録映像がほとんど残っていないのが泣きどころですが……
見てください、この彫刻のような美貌!
生涯で愛した女性は一人だけだったという噂がありまして……
ああ、その腕に抱かれた方が羨ましい……!」
兎娘「ローズちゃん、完全にオタクの顔になってる(笑)」
