下書き バックアップ
彼女の手元の端末には、ニュース映像とは真逆の世界中の“民の声”が次々と流れていた。
《ルルデスは告発者だろ》《議長の腐敗を暴いた英雄じゃないか》
《死んだ? そんなの信じない》《メディアの方がよほど怪しい》
《真実を語った者が消される世界……怖すぎる》
短い文が、怒りと悲しみと疑念を帯びて画面を埋め尽くす。
それは、メディアの罵倒とは対照的な、“民衆の素朴な正義感”そのものだった。
「……彼女によって暴かれた“真実”があるわ。
惑星連合議会議長ニェフ・ゼイオガメルが元締めだった違法薬物や人身売買組織……
オールドメディアが決して放送しなかった、それらの証拠の数々」
儀務閣《白イ三日月》――外交
- 天峰 篁(あまみね たかむら)/男性・40歳/国王
黒髪の小柄な王、穏やかな笑みを絶やさぬ文人肌。 - 天峰 笹真貴(あまみね ささまき)/女性・43歳/王妃
銀白の髪を持つ長身の王妃、静かな威厳を纏う。 - 隠岐永 公衡(おきなが きみひら)/男性・68歳/庶務 ※不在。庶務なのに。
- 餅月 兎娘(もちづき うさこ)/女性・17歳/近衛騎士 ※白銀歴1204年12月より配属予定
警務庁《赤イ兎》――治安維持
- 兎団 将萌(とまる すすめ)/女性・39歳/総司令
赤金の装甲を纏う義肢の女将、戦場の威圧を宿す。 - リオ・ハティー/女性・35歳/参謀
黒灰の肌と白髪を持つ冷静な戦略家。 - エヴァンテリアス・フラジリス/女性・14歳/護衛 ※ソファーで寝ている。護衛なのに。
青い鱗に長大な尾と紅髪を持つ竜人の少女、快活な笑顔が印象的。 - ベヴァレン・グレゴニー/男性・42歳/特殊部隊ラゴモルファ隊長 ※不在
- フレミッシュ・ド・クイラ/男性・27歳/特殊部隊ラゴモルファ隊員 ※不在
- チェッカード・セレグレア/女性・27歳/特殊部隊ラゴモルファ隊員
巨躯の射手、陽気な笑みと重火器を携える。
密衛庁《青イ竹》――諜報
- ゼルギウス・ユア/男性・69歳/長官
白髪の老紳士、朗らかな笑みの裏に老獪な眼差し。 - 布瀬 弥羽(ふせ みはね)/女性・44歳/副官
濃紺のスーツを端正に着こなす童顔の副官。 - 天峰 竹義(あまみね たけよし)/男性・22歳/エージェント ※不在
- 本田 和彦(ほんだ かずひこ)/男性・22歳/エージェント ※不在
- 竹然(じゅらん)/男性・35歳/オペレーター
穏やかな熊獣人技術者、竹を持って笹をしゃぶらないと落ち着かない。 - ミスティ・サブラ/女性・20歳/オペレーター
青髪の猫獣人、軽快な仕草と鋭い眼差しが特徴。
白イ三日月の庶務席と、赤
第一幕 銃声なき革命
◆ ― 影が崩れた夜、世界は静かに反転する ―
白銀歴1203年12月31日(火)
星都ルナルナの夜は、異様なほど静かだった。
森の上空に浮かぶ天宮城は、灯りを落とし、ただ月光だけを受けて淡く青く輝いていた。
武装は沈黙し、内包する航空兵器の作動音すらない。
その夜、革命は“音もなく”始まった。
腐敗政府の通信網は沈黙し、七つの省庁が同時に制圧された。
王室は争わず、ただ“証拠”を公開した。
それは、世界を黙らせるための静かな刃だった。
21時03分
財務省の内部サーバーが停止した。
続いて外務省、農水省、文科省、厚労省、検察庁、国税庁。
破壊の痕跡はない。
ただ、王室が長年蓄積してきた“内部告発データ”が
省庁の中枢を一瞬で麻痺させた。
職員たちは混乱したが、誰一人として抵抗しなかった。
自分たちが何をしてきたかを、彼ら自身が一番よく知っていたからだ。
21時17分
国民の端末に、王室から一斉通知が届いた。
《税金の使途を公開します》
画面には、
省庁の裏帳簿、
架空団体への補助金、
政治家の不正献金、
国税庁が黙認した脱税の記録が
淡々と表示されていく。
怒号はなかった。
暴動もなかった。
権力者の悪事を暴いても追求すらできない、
それが当たり前の国に成り果てていたからだ。
ただ、静かな失望と、深い理解だけが広がった。
「……やっぱり、そうだったんだ。」
国民は、怒りよりも“納得”していた。
同時刻、
各国の中枢にも“ごく一部の証拠”が送られた。
そこには、
ルナルナ議員919人中829人以上が他国のスパイだった証拠が記されていた。
- 資金の流れ
- 密約の録音
- 国際財団への献金とキックバック
- 国際機関の不正調達
- 企業の違法研究データ
- 外国人を背乗りさせることによる国籍偽造
そして最後に一行。
《これはごく一部です》
国外の為政者、国際機関の幹部、巨大財団の理事たちは理解した。
「ルナルナを攻撃すれば、
我々の暗部が暴かれる。」
その夜、世界は一斉に沈黙した。
22時01分
王室は政府を正式に解任した。
銃声は一発も鳴らなかった。
赤イ兎特殊部隊3名が、腐敗した為政者と役人を捕縛。
街はいつも通りで、
ただ夜風だけが白銀の外殻を撫でていた。
王妃・笹真貴(ささまき)は、天宮城のバルコニーから静かに呟いた。
「革命とは、静けさの中で完結するもの。」
その言葉とともに、ルナルナは再誕した。
翌年、竹娘が天宮城の扉を叩くことになるとは、まだ誰も知らない。
第二幕 沈黙する影
白銀歴1204年1月1日(水)未明。
ある国際都市の地下会議室で、各国のウラガネ幹部が集まっていた。
- 国際機関の幹部
- 多国籍企業のCEO
- 財団の理事
- 外交官の影武者
- 情報機関の黒幕
彼らは世界中の政府を経由して作らせた利権から、甘い汁だけを吸い上げてきた“世界の穀潰し”たち。
しかし今、その影が揺らいでいた。
「……ルナルナ王室は、どこまで把握している?」
「この“ごく一部”というのが問題だ。」
「反論した瞬間、我々の犯罪が暴露される。」
「声明は出すな。沈黙しろ。」
彼らは“もうルナルナからは甘い汁を吸えない”ことを悟っていた。
一方、
海外の末端ウラガネ――
活動家、NGO、メディアの一部、利権団体――は
何が起きているのか理解すらできていなかった。
「なんでパトロンは黙ってるんだ?」
「ルナルナ王室を批判しないの?」
「俺たちを賞賛するメディア記事が出てこないぞ……?」
「自治体の予算がおりてこねぇ( ノД`)シクシク…」
彼らは自分たちが“影の末端”であることすら知らない。
だから混乱し、沈黙の理由を理解できない。
その混乱が、
多くのウラガネ内部の瓦解を加速させようとしていた。
第三幕 再誕したルナルナ
白銀歴1204年6月10(火)
王室が“税金の使途”を国民に開示してから、半年が経った。
その間に、腐敗した為政者と役人たちは、
無人航空兵器に乗せられ、ルナ=クラリオン領内の衛星にある秘密施設へと静かに移送された。
彼らの本体は、施設地下のカプセルに収容されている。
そして、リアルタイムで思考をリンクできるアバター(義体)が与えられ、
本人として、あるいは別人として、ルナ=クラリオン領内で暮らしていた。
国家の病巣だった省庁の腐敗は、ようやく是正されつつあった。
かつて――
- 財務省は国民を貧困化させ、
- 外務省は自国民を犠牲にし、
- 農水省は農家を衰退させ、
- 文科省は教育を歪め、
- 厚労省は健康を害し、
- 検察庁は犯罪者を守り、
- 国税庁は権力者の脱税を黙認した。
国民負担率は 69%。
国は、国民の血を吸って生きていた。
しかし、腐敗を取り除いただけで――
- 国民負担率 13% で倒閣前と同じ社会保障が維持できることが判明し、
- 19% あれば老朽化したインフラを 10年以内に全て再整備できる
と分かった。
政府が訴えていた「増税の必要性」は、ただの嘘だった。
革命の夜と同じくー
国民は驚かなかった。
怒りもしなかった。
ただ、静かに理解した。
今までと同じ生活で、むしろ豊かになれる。
その事実は、革命の夜よりも深く国民に希望を与えた。
その声を、ルナルナ王妃・天峰笹真貴(あまみね ささまき)が静かに聞いている。
身長一八〇センチ近い長身の彼女は、銀白の髪を月光を受けて淡く輝かせ、白を基調とした衣装が静かな威厳を添える。
右手の黒い杖を軽く床へと打つ仕草には、王妃の優雅さとともに、かつて武を学んだ者の確かな重心が滲んでいた。
ルナルナ国王・天峰篁(あまみね たかむら)は、端末に映る告発データを静かに読み進めていた。
匿名の告発者が王室へ送りつけてきた、各国各界の腐敗を示す膨大な情報――。
身長一六〇センチ弱の小柄な体躯に、黒髪を後ろで束ねた篁は、王妃と同じ白と紺の衣を纏い、威圧よりも柔らかな温かみを漂わせていた。
王室の諜報機関《密衛庁:青イ竹》の副官、布瀬 弥羽(ふせ みはね)が前に出る。
彼女は、濃紺のスーツを端正に着こなしており、立ち姿には隙がなく、指先の動きひとつにも計算された品がある。
四十代半ばとは思えないほど若々しく、整った顔立ちは童顔のせいか二十代にも見える。
王室の治安維持機関《警務庁:赤イ兎》の総司令、兎団 将萌(とまる すすめ)が鋭い眼光でフィニを見据える。
彼女は、栗色の髪を高く束ね、赤と金の装甲を纏っており、肩から腕、脚にかけては重金属製の義肢が光を返し、動くたびに低い金属音を響かせる。
その姿は機械と人の境界を曖昧にしながらも、どこか神聖な威厳を漂わせている。
株式会社夕星重機製作所――表向きは従業員100名・売上100億円の中堅重機メーカー。
だが実態は、以下3名しか社員が存在しない“幽霊企業” である。
社長 夕星 可染(ゆうつづ かぜん) /男性・1,223歳
平安時代から生き続ける“不老不死の変態”。
裏の顔は「ヒノモト征服」を夢見る自称悪人。
ただし目的は曖昧で、本人も何をしたいのかよく分かっていない。
科学者 調 石笠(つきの いわかさ)/男性・57歳
研究と趣味に全力を注ぐ、頭脳派でありながら残念な変態。
普段は冷静だが、興味のある分野になると暴走しがち。 可染の妄想を技術で実現してしまう危険人物。
秘書 珠村 鬼乃子(たまむら きのこ)/女性・17歳
夕星重機製作所の秘書兼受付嬢。 唯一の常識人であり、可染と石笠の暴走を止められる存在。
(傍から見ると、それは“世話”や“介護”に近い。)
彼女がいなければ、この一味は何も回らない。
工場の生産ラインはすべてAIとロボットが担当し、 モータ、制御盤、筐体に至るまで 完全内製化。
保守も台座付きロボットが行うため、人間の手は一切不要。
設計・開発は人工知能 KISARA が担当し、 営業は人間そっくりの アバター社員 がこなす。
そのため、外部からは“優良企業”に見えるが、 実際には 3人組の秘密基地 に過ぎない。
なお、技術力は世界トップクラスだが、 会社規模はなぜか「中堅企業」の枠に収まっている。 理由は不明。
(鬼乃子曰く「可染様が書類仕事を嫌がるから」)
社長室の奥の鋼鉄の扉が軋み、薄暗い司令室に灯りがともる。
カマキリ腕が高速で突き出される。 竹娘はギリギリで避け続ける。
竹娘 「あ……くっ……!」(※演技です)
肩で息をしはじめ、額に汗を浮かべる“フリ”。
観客 「追い詰めてるぞ!!」 「そのまま刺せ!!」
竹娘(隙だらけだけど…うまく時間稼がなきゃ。)
カマキリ人間が前蹴りを放つ。
竹娘 「っ……ぐぅっ!!」(※これも演技です)
わざと腹で受けて派手に吹っ飛ぶ。 砂埃を上げて転がり、唾液を吐きだし咳き込む。
竹娘 「はぁっ……はぁっ……!」
脂汗がナメクジの粘液の様に吹き出し、流れる。(※演技でここまで出来ちゃいます。)
ブリコ「竹娘ちゃん!!!」
観客 「よし!!効いてる!!」 「もっとやれ!!」「…あばら折れてんじゃね?」
司会 「おおっと〜!? 竹娘ちゃん、かなりダメージを受けているようです!!」
竹娘(体内時計で……あと14分。 うーん、まだまだ長いなぁ。)
カマキリ人間が腕を振り下ろす。
竹娘 「きゃああああ!!」(※もうお分かりかと思いますがこれも演技です。)
ギリギリで避ける。 観客は大興奮。
観客 「惜しい!!」 「次こそ刺さる!!」 「もっと追い詰めろ!!」
竹娘(刺さりそうに見えてるようで一安心。私、スタント女優もイケるな。)
竹娘は後ろに跳びながら、 両手を前に出す。
カマキリ腕の刃が――
スパァン!!
木の手枷だけを切り裂いた。
観客 「おおおおお!!!」
竹娘(うん、この方がシネマティック。)
カマキリ人間が再び突進してくる。
竹娘は一瞬だけ表情を消し―― その手首を掴む。
そ瞬間、竹娘の指先がわずかに力を込める。
ミシ……ッ。
観客 「え?」
カマキリ人間の腕が、不自然な角度に折れ曲がる。 竹娘はそのまま、折れた腕を“返すように”押し出した。
自身の刃が、 自分の胸部装甲に深く突き刺さる。
観客 「……は?」 「自分の腕で刺された……?」 「何が起きたんだ……?」
竹娘は軽く息を吐いた。
「ふぅ……危なかった……(※しつこいですが演技です。)」
――白銀歴1205年MM月DD日
ソルエル・ウィアロークの日記より抜粋
フィニの人ならざる動きを見ると、
あれは神通力としか思えない。
あの子の中に流れるものは、
私たちの理解を超えた“旧世界の残滓”なのかもしれない。
この世界がどこへ向かうのか、
私はもう見届けることはできないだろう。
だが、あの子が歩む道が、
新しい世界の始まりであることを願う――
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
タッチパネル端末の画面が暗転し、
「講義資料:読了」の文字が浮かぶ。
しばらく誰も言葉を発せず、
教室には静かな空気が落ちた。
ブリコは端末を胸に抱えたまま、ぽつりと呟く。
ブリコ「……え、ちょっと……これ……全部ほんとに……?
旧世界の神様とか、闇極魔王とか……
それが“悪魔のカケラ”になって、今の宇宙に残ってるって……
いやいやいや……信じられないんだけど……」
ローズもページを戻しながら、眉を寄せる。
ローズ「……私もですわ。
アルビオニアの歴史書でも“悪魔のカケラ”は神話扱いでしたのに……
まさか、こんな体系化された資料が存在するなんて……
これ、本当に……現実の話なのですの?」
ブリコはローズの肩をつつく。
ブリコ「ローズちゃん、これ……宇宙史の根幹じゃん……
なんかもう、頭が追いつかない……」
ローズは深く息を吐く。
ローズ「……ええ。
でも……信じられないからこそ、知っておかないといけない気がしますわ……」
二人の“信じられない”という声が重なり、
教室の空気が少しだけ揺れた。
その静けさの中で、
竹娘と兎娘は淡々と端末を閉じ、
隠岐永は次の説明の準備を始めていた。
隠岐永の「ここから先は皆さんの知っている名前が多数出てきます」という言葉に、
ブリコとローズは緊張した面持ちで端末の画面をタップした。
画面が切り替わり、
《魔獣(胎魔獣)/HolyGestation》
という項目が表示される。
次の瞬間──
二人の表情が一気に強張った。
ブリコの反応
ブリコ「……うわっ……なにこれ……
“胎魔獣出産儀式・聖胎降臨(HolyGestation)”……?
……え、これ……人間に……産ませてるの……?」
スクロールする指が震え、
画面に表示された説明文を読み進めるたびに顔色が悪くなる。
ブリコ「“神の子と称して胎魔獣を産ませる”……
“高位者がペットのように飼う”……
“従順性が高く護衛・暗殺に使われる”……
……いやいやいやいや……
こんなの……生体兵器工場じゃん……!」
ブリコは端末を胸に抱え、
本気で吐きそうな顔をする。
ローズの反応
ローズも画面を見つめたまま固まっていた。
ローズ「……サクラメント教団……
ここまで……ここまで非道なことを……
これはもう……宗教の皮を被った犯罪組織ですわ……」
ローズは普段の気品ある口調のまま、
しかし声が震えていた。
ローズ「……“胎魔獣を外部に出さない”……
“高位者がペットとして飼育”……
……こんなもの……
想像するだけで吐き気がしますわ……」
兎娘も眉をひそめる。
兎娘「……気持ち悪い。」
竹娘は静かに画面を閉じた。
竹娘「……こんなこと、許されるはずがないよ……」
リリヤ・グラドヴァの項目を見つけた瞬間
ブリコがスクロールしていると、
ある名前が目に飛び込んできた。
ブリコ「……あっ……えっ……
“ルーシア寒帯帝国・国家運営者
リリヤ・グラドヴァ(LiliyaGradova)”……?」
ブリコは叫び声を上げた。
ブリコ「うそっっっっ!!
リリヤ様!?
てっきり未知の宇宙人さんとのハーフだと思ってた!!」
ローズが呆れたようにため息をつく。
ローズ「あなた……そんなわけないでしょう……」
隠岐永が淡々と補足する。
隠岐永「リリヤ殿は“国家の魂”と呼ばれていますが、
コムニアでは“LGBTQ(LiliyaGradovatheBeastTyrantQueen)”と揶揄されています。」
ブリコは端末を閉じて震える。
ブリコ「……こわ……でもちょっと好き……いやこわ……」
竹娘は複雑な表情で呟く。
竹娘「……胎魔獣も、リリヤさんも……
みんな、悪魔のカケラに振り回されてるんだね……」
兎娘が竹娘の袖を引く。
兎娘「……竹ちゃんも、気をつけて。」
ローズの“黒曜騎士団”への伏線へ繋がる
ローズはまだ震えたまま、
次の項目へ指を伸ばす。
ローズ「……魔獣(人造魔獣)……
……黒曜騎士団……?」
その瞬間、
ローズの表情がさらに強張る。
胎魔獣の項目を読み終え、
教室の空気が重く沈んだまま、
ローズは震える指で次の項目をタップした。
画面に表示されたタイトルは──
《魔獣(人造魔獣)/Artificial Beast》
《黒曜騎士団(Obsidian Knights)》
ローズの瞳が大きく揺れた。
ローズの反応(衝撃)
ローズ「……えっ……黒曜騎士団……?
……まさか……これ……人造魔獣……?」
ローズは端末を持つ手を震わせながら、
画面をスクロールする。
そこには、
“白銀歴1000年以降の団員は総隊長エペ・ロートロイを除き全員、人造魔獣である”
と明記されていた。
ローズは息を呑み、
椅子から立ち上がりそうになる。
ローズ「そんな……そんなはずありませんわ……!
黒曜騎士団は……アルビオニアの誇りですのよ……!
1200年前の団長デズモンド様も……
現総隊長エペ様も……
私、ずっと……ずっと尊敬して……!」
声が震え、
目には涙が浮かびかけていた。
ブリコの反応(オタク的ショック)
ブリコも画面を覗き込み、
ローズの肩をそっと押さえる。
ブリコ「ローズちゃん……
でも……これ、資料に書いてあるんだよ……
黒曜騎士団の団員、ほぼ全員……人造魔獣……
えぇ……マジで……?」
ブリコもショックを受けているが、
ローズほど深刻ではなく、
ただただ現実を飲み込めずにいる。
ブリコ「うそ……
あの“黒曜の剣舞”とか“漆黒の突撃陣形”とか……
ぜんぶ……人造魔獣の身体能力だったってこと……?」
ローズの心の崩れ
ローズは端末を胸に抱きしめ、
震える声で呟く。
ローズ「……そんな……
私……黒曜騎士団の演武を見て育ったんですのよ……
あの美しさは……
あの強さは……
騎士の誇りだと思っていましたのに……」
竹娘が静かにローズの肩に手を置く。
竹娘「ローズさん……
強さと……存在の重さは……別の話だよ。」
ローズは竹娘の言葉に、
少しだけ呼吸を整える。
隠岐永の補足(学術的説明)
隠岐永は淡々と、しかし優しい声で説明する。
隠岐永「黒曜騎士団は、
アルビオニア王国が“国防の最終手段”として作り上げた存在です。
人造魔獣であることは、
彼らの誇りを否定するものではありません。」
ローズは涙を拭いながら、
隠岐永の言葉に耳を傾ける。
隠岐永「むしろ──
“人造魔獣でありながら、騎士としての誇りを保ち続けた”
それこそが黒曜騎士団の真価でしょう。」
ローズは端末を見つめ、
ゆっくりと頷いた。
ローズ「……そう……ですわね……
彼らは……人造魔獣であっても……
騎士であることを選んだ……
それが……黒曜騎士団……」
兎娘の静かな一言
兎娘がぽつりと呟く。
兎娘「……ローズちゃん。
黒曜騎士団は……あなたの誇りのままだよ。」
ローズは涙をこぼしながら笑った。
ローズ「……ありがとう……兎娘さん……」
竹娘の締め
竹娘は静かに画面を閉じる。
竹娘「……悪魔のカケラは、
みんなを振り回してるけど……
それでも……
その中で“誇り”を選んだ人たちもいるんだね。」
隠岐永が頷き、
講義の次の章へ進む準備を始めた。
了解、恵太郎。
ここからは 「魔人(Demonian)」の項目を開いた瞬間の反応 と
「ネオ‑インビヒト(進化抑制ワクチン)」の項目を開いた瞬間の反応 を、
講義資料 → 生徒の動揺 → 詳細項目 → 会話劇
という流れに自然に続くように描くね。
黒曜騎士団の衝撃のあと、
さらに“現代の闇”が明らかになる場面なので、
キャラの反応も深く、重く、時にコミカルに仕上げてある。
🎭 魔人(Demonian)の項目を開いた瞬間の反応
黒曜騎士団の真実にショックを受けたローズが、
震える指で次の項目をタップした。
画面に表示されたタイトルは──
《魔人(Demonian)/D‑Catalyst》
ブリコが真っ先に反応した。
ブリコの反応(直感的ショック)
ブリコ「……魔人……?
これって……ウラガネの強化兵のことだよね……?」
スクロールする指が止まる。
ブリコ「“悪魔の力を人間のまま扱う強化体”……
“繁殖可能だが神通力は遺伝しない”……
“元の悪魔以上には進化しない”……
……うわ……これ……
完全に“使い捨ての兵士”じゃん……」
ブリコは端末を抱えたまま、
本気で嫌そうな顔をする。
ローズの反応(倫理的ショック)
ローズも画面を見つめて眉を寄せる。
ローズ「……“人間のまま悪魔の力を扱う”……
……そんなこと……していいはずありませんわ……
これはもう……人間を兵器として扱っているだけですわ……」
ローズは端末を閉じかけて、
しかし気になって再び開く。
ローズ「……“デモナイズ・パッチド型”……?
“魔人を任意のタイミングで魔物化させる機構”……
……これ……裏切り者の処理用……?」
ローズは震える声で呟く。
ローズ「……ひどい……
こんなの……人間への扱いじゃありませんわ……」
兎娘の反応(静かな嫌悪)
兎娘は短く一言。
兎娘「……最低。」
その一言が、
教室の空気をさらに重くした。
竹娘の反応(静かな理解)
竹娘は画面を見つめながら呟く。
竹娘「……魔人も……魔物も……魔獣も……
みんな……悪魔のカケラに縛られてるんだね……
自分の意思じゃなくて……誰かの都合で……」
その言葉に、ローズは胸を押さえた。
隠岐永の補足(学術的説明)
隠岐永が淡々と補足する。
隠岐永「魔人は、
“悪魔の力を扱える兵士”として設計された存在です。
しかし──
彼ら自身が望んでその力を得たわけではありません。」
隠岐永は画面を指で示す。
隠岐永「魔人化は、
“国家の都合”で行われた強制的な進化です。
その倫理性は、今も議論されています。」
ローズは静かに頷いた。
ローズ「……人造魔獣と同じですわね……
強さの裏に……犠牲がある……」
ここで空気が沈んだまま、
ブリコが次の項目をタップする。
画面に表示されたタイトルは──
《ネオ‑インビヒト(Neo‑Invihit)/進化抑制ワクチン》
画面を見た瞬間、
ブリコとローズは同時に息を呑んだ。
ブリコの反応(直感的恐怖)
ブリコ「……えっ……
ネオ‑インビヒトって……
新生児に打つ“普通のワクチン”じゃん……?」
スクロールする指が震える。
ブリコ「“霊長類の進化抑制剤”……
“神通力発現者を減らす目的で開発”……
“WHOが全世界に普及”……
……え、え、え……
これ……世界規模の……進化阻害じゃん……!」
ブリコは本気で青ざめる。
ローズの反応(倫理的恐怖)
ローズも画面を見つめて固まる。
ローズ「……そんな……
新生児に……進化抑制剤を……?
世界調和機関が……?
……これは……
もう……“世界の意思”そのものですわ……」
ローズは端末を閉じかけて、
しかし震える手で再び開く。
ローズ「……“神通力発現者を減らすため”……
……つまり……
“強すぎる人間を生まれないようにする”……
……そんな……
そんなこと……許されるはずありませんわ……!」
兎娘の反応(静かな怒り)
兎娘は珍しく強い声を出した。
兎娘「……赤ちゃんに……そんなもの……打つなんて……
……最低。」
その声は、
教室の空気を一瞬で凍らせた。
竹娘の反応(静かな理解)
竹娘は画面を見つめながら呟く。
竹娘「……神通力を持つ人が増えると……
世界が不安定になるから……
だから……抑えたかったんだね……
でも……それって……
本当に正しいのかな……」
ローズは竹娘の言葉に目を伏せる。
隠岐永の補足(学術的説明)
隠岐永は淡々と説明する。
隠岐永「ネオ‑インビヒトは、
“世界規模の安全保障”として導入されたものです。
神通力発現者が増えれば、
国家間の均衡が崩れますから。」
隠岐永は画面を閉じる。
隠岐永「しかし──
その倫理性は、今も議論されています。
“進化を止める権利が誰にあるのか”。
それは、宇宙史最大の問題の一つです。」
ローズは静かに呟く。
ローズ「……進化を止める権利……
……そんなもの……誰にもありませんわ……」
竹娘は静かに頷いた。
ネオ‑インビヒトの項目を読み終え、
教室の空気は重く沈んだままだった。
隠岐永が静かに次の項目を開く。
画面には──
《武器・防具加工技術(概要)》
というタイトルが表示された。
隠岐永の説明(防具加工の概要)
隠岐永「……悪魔のカケラは、
魔物・魔人・魔獣の生成だけでなく、
武器・防具にも加工されます。」
ブリコが首をかしげる。
ブリコ「防具……?
そんなの、私たちには関係ないよね……?」
ローズも同じように首を傾げる。
ローズ「ええ。
私たち、戦闘能力なんてありませんもの。」
隠岐永はゆっくりと首を横に振った。
隠岐永「……いいえ。
戦闘能力がないからこそ、必要なのです。」
ブリコとローズは同時に固まった。
防具の説明(学術的)
隠岐永は端末の画面を指で示す。
隠岐永「防具の素材は、
闇極魔王7体を除けば最強の悪魔──
悲嘆海溶泡化姫眷魔(マーメイド) のカケラ。」
ブリコが目を丸くする。
ブリコ「えっ……マーメイドって……
あの“海を泣かせる悪魔”って呼ばれてる……?」
ローズも息を呑む。
ローズ「……海を泡に変えるほどの力を持つ眷魔……
そのカケラを……防具に……?」
隠岐永は頷き、続ける。
隠岐永「そしてもう一つ。
世界四大超金属の一つ──
スターフォージ・アロイ(Starforge Alloy)。」
ローズが驚きの声を上げる。
ローズ「スターフォージ!?
あれは……星の核を模した超金属……
王国でも滅多に扱われませんわ……!」
隠岐永は静かに説明を続ける。
隠岐永「この二つを組み合わせた防具は、
D‑Mutagen(魔物化薬剤)
D‑Catalyst(魔人化薬剤)
D‑Parasite(寄生強化)
などの魔性化技術を──
完全に無効化します。」
ブリコが息を呑む。
ブリコ「……えっ……
つまり……もし撃たれても……魔物にならない……?」
隠岐永は頷いた。
隠岐永が防具を渡す
隠岐永は机の引き出しから、小さな黒いケースを取り出した。
ケースを開くと──
星のように淡く輝く指輪と、
海の泡のように透明なイヤリングが並んでいた。
ブリコとローズは息を呑む。
ブリコ「……きれい……
これ……防具なの……?」
ローズ「……宝飾品にしか見えませんわ……」
隠岐永は二人の前にケースを置いた。
隠岐永「ブリコ殿、ローズ殿。
あなた方は戦闘能力がありません。
だからこそ──
最優先で守られなければならない。」
ブリコは震える声で尋ねる。
ブリコ「……これ、私たちが……?」
隠岐永は静かに頷いた。
隠岐永「ええ。
これはあなた方のために作られた防具です。
身につけている限り、
どんな魔性化薬剤を撃たれても無効化されます。」
ローズは指輪をそっと手に取り、
光を見つめながら呟く。
ローズ「……こんな……
こんな高価なもの……
私たちが持っていいのですの……?」
隠岐永は優しく微笑む。
隠岐永「価値ではありません。
必要だから渡すのです。」
ブリコはイヤリングを耳に当ててみる。
ブリコ「……かわいい……
そして……なんか……安心する……」
竹娘が微笑む。
竹娘「似合ってるよ、ブリコちゃん。」
兎娘も静かに頷く。
兎娘「……ローズちゃんも、似合う。」
ローズは照れながら指輪をはめる。
ローズ「……ありがとうございます……
隠岐永様……大切にしますわ……」
隠岐永は静かに締めくくる。
隠岐永「あなた方が安全であることが、
この講義の最優先事項です。
どうか、常に身につけていてください。」
指輪は、
スターフォージ・アロイ特有の“星の核のような白銀光”を帯びている。
リングの中央には、
悲嘆海溶泡化姫眷魔(マーメイド)のカケラが
涙のしずくのような形で埋め込まれている。
そのカケラは、
光に当たると淡い水色の泡が浮かぶように輝き、
まるで海面に落ちた涙が泡になって消える瞬間を閉じ込めたようだった。
リングの縁には、
スターフォージ・アロイ特有の微細な星紋が刻まれており、
見る角度によって星々が瞬くように光が走る。
ブリコ「……かわいい……
でも……なんか……海の底で光ってる宝石みたい……」
ローズ「……指輪なのに……まるで“護符”のようですわ……」
🌊 Mermaid‑Starforge Earring(イヤリング)
イヤリングは、
マーメイドのカケラを薄く加工した“泡の雫”のような形状。
透明に近い水色で、
光を受けると内部に小さな泡が浮かぶように見える。
その泡は、
悲嘆海溶泡化姫眷魔が海を泣かせたときに生まれる“溶泡”を模したもの。
イヤリングの金具部分はスターフォージ・アロイ製で、
星の核のような白銀光が、
海色のカケラを優しく照らしている。
揺れるたびに、
海と星が混ざり合うような光が生まれる。
ブリコ「……耳につけると、海の泡が揺れてるみたい……
かわいい……そして……なんか安心する……」
ローズ「……宝飾品としても一級品ですわ……
これを防具と呼ぶなんて……贅沢すぎますわ……」
