本章ノ壱 四節「京都星海楼へ行こう」(作成中)
――海が、空を越え、星になる。
京都に誕生した、惑星テラ=プレアデス初の星海楼。
頭上を泳ぐマンタ、光の粒が舞う「海の天蓋」。 宇宙を泳ぐような水族館「星海の回廊」。 星が映る水面を駆ける「天海ドーム」。 そして――星が降り注ぐ「星の大聖堂」。
海と空と星が、ひとつになる場所。
京都星海楼。 あなたの“初めて”が、ここにある。
12月24日(水)、オープン。
「京都星海楼 公式CMナレーション」よりー
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本章ノ壱 昔醒の兆し 編
四節 京都星海楼へ行こう
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あああ
白銀歴1204年12月13日(土) 11:45
惑星テラ=プレアデス テラ連合圏 島国ヒモノト 京都府
料理店《なよ竹》
店内に流れるテレビから、「京都星海楼 公式CM」の煌びやかな映像が流れている。
「はー、行きてー!!」
マロがテーブルに突っ伏しながら叫ぶ。 なよ竹の常連客がちらりと振り返るほどの声量だ。
「チケット取れなさすぎだろ!」 携帯端末の 画面には“抽選落選”の文字がずらり。
桜司はストローを噛みながら言う。
「どーせ水着の女の子をウォッチしたいだけだろー。ニュース映像に出てくるだろうから、それで我慢しとけー?」
「違いますぅ! ぼくは純粋にプールが……!」 マロは涙目で反論するが、誰も信じていない。
そんな中、 種男はテレビの星海楼CMを見つめながら、 ふと数日前の出来事を思い出していた。
夕方のなよ竹。 店の裏口に、鬼乃子が深々と頭を下げていた。
「この前は……私たちのボスがごめんなさい。自動車修理費用はすべて負担いたしました。
そして、お詫びとは何ですが――」
鬼乃子は封筒を差し出した。
「12月24日にオープンする 星海楼の優待入場・宿泊券、5枚です。
私たちの製品、あの施設に多数使われているんですよ。」
種男は思わず固まった。
(……これ……みんなで行ける…… どうしよう……いや、誘うしかないよね……!)
鬼乃子は微笑んだ。
「どうか、楽しんできてくださいね。」
種男は深呼吸し、 テーブルに封筒を置いた。
「……実はさ。 チケット持ってて、みんなで行かない? 入場も宿泊も、全部セットの優待券。」
一瞬、時間が止まった。
次の瞬間――
「うわああああああああああああああああ!!!」
マロが椅子から転げ落ち、 床に突っ伏して号泣した。
「うそ……夢……? 夢ですか……!? ぼく……ぼく……星海楼に……!? うわあああああああああああああああ!!」
鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃだ。
マロは種男の手を両手で掴み、 震える声で言った。
「種男さん……! ぼく……一生ついていきます……!!」
「じゃあ……貸し一つ、だね!」
種男はそっと携帯端末を見た。
昨日誘った竹娘からのメッセージは―― まだ来ていない。
(……返事、来るといいな)
軽い不安と、 星海楼への期待が胸に広がっていった。
◆ ルナルナ側 ― 星海楼へ向かう前日
ルナルナ王国・王城の一室。
竹娘、兎娘(エルザェム)、ブリコ、ローズの四人が同じ部屋でくつろいでいた。
窓の外では、惑星テラ=プレアデスへ向かうシャトルの光が夜空を横切っていく。
竹娘は、手元の携帯端末を見つめながら小さく息をついた。
「……実はね。
種ピーから、惑星テラ=プレアデスのヒノモトにできる星海楼に誘われたの」
ブリコが勢いよく振り向く。
「えっ、例の“気になる人”!?ついにデート!? デートなの!?」
「まぁ……で、デートと言えばデート、かな。」
竹娘の頬が少し赤くなる。
「彼の友達二人もいて……“よかったら一緒に”って。でも、私……」
言い淀む竹娘。
ローズが静かに微笑む。「でも……?」
竹娘は正直に話した。
「……実は、ヒノモトの京都府長からも依頼が来てて。
“お忍びで来てくれ、オープン初日のビーチバレー大会に出てほしい。
かぐや姫の再来をサプライズで登場させたい”って。
優待券は何枚でも用意するって言われてるの」
兎娘が眉をひそめた。
「オッキーナ・重蔵……あのスケベそうなジジイか……
『輝夜文化ホール』でお前と会見してたヤツだろ?
お前を使った町おこしといい、そーゆー才覚はあるんだな。
で、ルナルナ王室経由で依頼来てんだろ?
そりゃ断れねぇよなぁ。
……で、何が問題なんだよ?」
竹娘は兎娘にひっそり話しかける。
「……ローズさんを誘いにくくて。お母さんのこと、まだ……」
ローズは察したように首を横に振った。
「ありがとう。気にしないで。私は大丈夫。
むしろ……行ってきてほしい。帰ってきたら、いっぱいお話を聞かせてね」
その優しさに、竹娘の胸が少し痛んだ。
兎娘は腕を組んでそっぽを向く。
「私は行かねぇぞ。初めて会うヤツと何話すんだよ。気まずすぎるだろ」
ブリコは頬を赤らめながら言う。
「私は……その……例の“気になる子”見てみたいけど……邪魔しちゃ悪いし……」
竹娘は、ぎゅっと胸の前で手を握りしめて言った。
「だから、みんな無理に来なくていいの。
私は……どっちでも……
……ううん、違う。
本当はね……
みんな可愛いから種ピーに会わせたくない気持ち半分、
一緒に来てほしい気持ち半分なんだ。。。」
部屋の空気が一瞬止まった。
ブリコ
(いやん……かわい……!一騎当千銀河級戦乙女サマが……ギャップ萌えすぎる……!
推しが……推しが尊い……!)
顔が一気に真っ赤になり、枕に顔を埋めてバタバタする。
兎娘(エルザェム)
(虫ばっかり追いかけてたお前が……こんな……これじゃまるで“女の子”じゃねぇか……)
照れ隠しでそっぽを向き、耳がぴくぴく動く。
ローズ
(ふふ……竹娘さん、素敵ですよ。あなたが“自分の気持ち”を言えるようになって……私は嬉しい)
優しく微笑み、そっと竹娘の背中に手を添える。
竹娘は三人の反応を見て自分でも驚くほど自然に笑った。
(……なんか、こういうの言えるようになったの……)
「みんなのおかげだよ」
その時だった。
携帯端末が震えた。
種男からのメッセージだ。
『チケット、二枚までOKって言ってたけど……
もし誰か一緒に行きたい人がいたら、
遠慮なく言ってね』
竹娘は小さく笑った。
(……優しいな、ほんと)
◆ 当日 ― テラ行きシャトル乗り場
水着、勝負下着、非常食、推理小説――
全部詰め込んだリュックを背負い、竹娘はシャトル乗り場で待っていた。
「おっまたせー!!」
振り向いた竹娘の目に飛び込んできたのは――
白いホルタートップに、濃紺のデニムショートパンツ。
胸元には小さな赤いリボンが結ばれ、頭には大きなサングラスがちょこんと乗っている。
足元はサンダル。
まるで古い映画から抜け出したような、レトロで眩しいブリコが全力で手を振りながら走ってくる。
竹娘は目を瞬かせ、冗談めいて言った。
「あれ……私、疲れすぎて幻でも見てるのかな?」
「やっぱり行っていいかな?」
ブリコはにへらっと笑う。
ちゃっかりヒノモト入国の手続きまで済ませてきたらしい。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「だって……竹娘ちゃんが行くのに、
私だけ置いていかれるのイヤだし……
その……気になる子も見たいし……」
竹娘は呆れながらも、どこか嬉しかった。
「もう……ほんとに、正直でよろしい……!
あと……今、ヒノモト寒いよ? そんなホットな格好だと、すぐコールドになっちゃうかも。」
二人は笑い合い、
テラ行きのシャトルへと歩き出した。
その先に、
星海楼と――
そして種男との再会が待っている。
オープンイベント前 ― 京都府長の思惑
京都府庁・特別応接室。
夜空に浮かぶ星海楼の巨大なシルエットを見上げながら、府長は落ち着かない手つきでネクタイを直した。
応接室の扉が静かに開く。
そこに現れたのは、世界有数の資産家の現当主――デア・ポップフェラー。
黄金の髪が光を受けてゆるやかに波打ち、紫水晶のような瞳が静かにこちらを見つめている。
その顔立ちは、ただ整っているという言葉では足りない。
まるで人の手では描けぬ完璧な線で形づくられた彫像のように完璧でありながら、確かに生きている温度を感じさせた。
衣装は、イベント用に仕立てられた「サタングロース」仕様。
深紅のコートに白いファーが縁取りされ、胸元には雪の結晶を模したブローチが輝く。腰には金糸のリボンが結ばれ、その下から覗く黒のスカートが、まるで夜空に落ちる影のように揺れていた。
サタングロースは各国のお伽話に登場する“赤い服の白髪の老婆の悪魔”――
トナカイのひく空飛ぶそりに乗り、12/24の夜に子どもたちにプレゼントを配って回るという。
その悪魔の衣装を身にまとう彼女の背後には、淡く光る羽根の幻影が浮かんでいる様に見えた。
その姿は“聖夜の象徴”でありながら、どこか“堕天の女王”の気配を纏っていた。
府長は思わず息を呑む。目の前の存在が、ただの人間ではないことを本能で理解していた。
「ポップフェラー様……そのお姿、まるで……」
デアは微笑んだ。その笑みは、慈愛と悪戯の境界線を曖昧にする。
府長は一瞬、言葉を失ったが、 すぐに公人としての自分を思い出し、深く頭を下げた。
「ポップフェラー様……
改めて、この星海楼の建設にご尽力いただき、
本当にありがとうございます。」
デアは微笑み、紅茶を口に運ぶ。府長は続けた。
「建設費を全額、貴家が負担してくださったおかげで、
京都府は一円の税金も使わずに、
この巨大施設を得ることができました。」
「地域の負担はゼロ。
企業は高粗利で受注し、
雇用は爆発的に増え、
経済が一気に回り始めております。」
デアは静かに頷く。府長はさらに熱を込めた。
「そして運営も……
自治体と民間企業が主体となり、
維持費は我々が負担する。
収益の八割は地域に還元され、
残りの二割がポップフェラー財団の“運用益”として積み上がる……」
「これほど“全員が得をする仕組み”を作れる方は、
世界広しといえど、貴家だけでしょう。」
デアは微笑を深めた。
「ええ。人が喜び、地域が潤い、そして私どもも利益を得る。それが最も美しい循環ですわ。」
デアの言葉に、府長は思わず胸を熱くした。
手元の資料を整えながら、緊張と興奮を隠しきれずに続ける。
「オープン当日 先日のメールにて了承くださいました
・記念ご挨拶
・ビーチボール大会へのご参加
・レストランでの食事出席
どうか、よろしくお願いいたします。」
デアは穏やかに微笑み、紅茶のカップを静かに傾けた。
「ええ、もちろんですわ。
皆さまが楽しんでくださるなら、それが私の利益ですもの。」
府長はその言葉に満足げに頷き、しかし次の瞬間、目を輝かせて身を乗り出した。
「そこで、ポップフェラー様。どうですかな?
せっかくですので、挨拶は――水着で登壇されては。
(綺麗なオナゴへのセクハラ、やめられんわい……)」
デアは一瞬だけ目を細め、その後、完璧な笑みを浮かべた。
「承知いたしましたわ。
では、このサタン衣装の下に水着を着ておきましょうか。
脱ぐのは――登壇後でよろしいのかしら?」
府長「!!!?」
府長の顔が一瞬で明るくなる。喉が鳴り、言葉が出ない。
(こっ、これは……!? まさか本当にやる気か!?
あとは月京竹娘様が来てくれたら……これは盛り上がるぞぉぉぉ!!)
デアは静かに立ち上がり、コートの裾を整えながら窓の外を見つめた。
「……人は、欲望を隠すより、演出した方が美しいものですわね。」
その声は穏やかだったが、どこか冷たい計算の響きを帯びていた。
府長はその意味を理解できぬまま、
ただ笑顔を貼り付けて頷いていた。
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京都星海楼 公式パンフレット
SEIKAIRO KYOTO — SEA, SKY & STARS COMPLEX
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◆ ようこそ、星と海の交わる場所へ。
京都星海楼は、
“海・空・宇宙”をテーマにした複合文化施設です。
惑星テラ=プレアデスでは 初の星海楼 として建設され、
最新技術と京都の伝統美を融合した
“未来の観光拠点”として誕生しました。
建設費はすべてポップフェラー財団の寄付により賄われ、
地域企業・自治体との共同運営によって
持続可能な文化・観光モデルを実現しています。
—
◆ 1. エントランスホール
「海の天蓋(あまがさ)」
青い光が揺らめく巨大スクリーン天井。
頭上を滑るマンタ、漂う光の粒。
まるで海の底に立っているような幻想空間が、
皆さまを星海楼の世界へ誘います。
—
◆ 2. 水族館エリア
「星海の回廊(せいかいのかいろう)」
全長 1,200メートル の回廊型水族館。
“深度下降式展示・光子海流システム” を導入。
ヒノモトIT企業 × 夕星重機製作所の共同開発により、
海流の動きが光として可視化され、
魚たちの軌跡と重なり合うことで
“宇宙を泳ぐ海” を体験できます。
深海 → 外洋 → 熱帯 → 古代海 → 宇宙海
と、歩くほどに世界が変わる構造です。
—
◆ 3. 巨大プールエリア
「天海ドーム(てんかいドーム)」
星海楼の中心に広がる巨大水楽園。
• 直径200mメインプール
• スライダー型
• 川下り型
• 流れるプール
• 幼児用エリア
• 星空ナイトプール(夜間限定)
天井は完全可動式で、
昼は自然光、夜は星空が映し出されます。
水面に映る星が揺れ、
“空を泳ぐ” 体験をお楽しみください。
—
◆ 4. プラネタリウム
「星の大聖堂(ほしのだいせいどう)」
高さ60mの巨大ドーム。
内部は一歩踏み入れた瞬間、
天井・壁・床すべてが星空に変わります。
実在の宇宙データを元にした
サタン設計の星空投影システムにより、
星の位置・光度・動きが完全再現。
“宇宙に浮かぶ感覚”を体験できる、
星海楼の象徴的エリアです。
—
◆ 5. レストラン
「SEA OF THE STARS(シー・オブ・ザ・スターズ)」
星海楼最上階の球体レストラン。
360度ガラス張りの空間から、
京都の街並みと星海楼の光を一望できます。
料理は
海洋食材 × 京都伝統野菜 × 惑星テラ特産品
を融合した“星海楼キュイジーヌ”。
夜は星空と街の光が反射し、
まるで宇宙に浮かぶ食堂のような時間を。
—
◆ 6. ホテル
「SEA OF THE DREAMS(シー・オブ・ザ・ドリームズ)」
レストランと同系統の命名で統一された
星海楼直結の高級リゾートホテル。
沖縄の星野リゾートを参考にした
“自然 × 癒し × 未来”の空間設計。
● 特徴
• 全室オーシャンビュー(疑似海景)
• 天井に星空投影
• 竹林を模した露天風呂
• 京都香木アロマ
• 睡眠最適化ベッド
• 子ども向け宇宙学習プログラム
• プール・水族館・プラネタリウム直通の専用通路
優待券をお持ちの方は、
特別価格でご宿泊いただけます。
—
◆ 7. 星海楼の理念
「海と空と星を、すべての人へ。」
星海楼は、
文化・教育・観光・経済をつなぐ
“未来の公共施設”です。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。
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