本編 第零章 後節『月影に残されたふたつの欠片』
父は自分の研究を嫌う“大きな力”の存在に気づいていた。
しかし、その正体を記す前に殺された。
ならば、自分が続きを探す。
生前の父の人柄を思い出せば、それは彼の望むことではない気がした。
むしろ、危険へ近づく自分を見れば、困ったように笑うか、本気で止めにかかったかもしれない。
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序章 再起たけのこ譚
続節 月影に残されたふたつの欠片─ルナルナ再誕録を経て
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第一幕 父が遺した二ページ目
白銀歴1204年9月27日(土)
惑星ルナ=クラリオン 星都独立領ルナルナ 《天宮城(うぐしろ)》居住区
初公務を二日後に控えた月京 竹娘(つきのみや たけのこ)は、父ソルエルが残したメッセージを何度も読み返していた。
表示された文書は、一ページだけ。
正確には、二ページ構成だったと思われる文書の、二ページ目だけ。
ビルスタット居住区が急襲され、父と必死に逃げたあの日──彼が遺した破損端末から奇跡的に復元できた、ただひとつのデータだった。
それでも、竹娘は残された文章を一字一句覚えていた。
一度読んだものを忘れられない、彼女の記憶能力のためだけではない。
父が遺した数少ない言葉だったから。
もう二度と増えることのない言葉だから。
《妻十周忌メッセージ》page 2 / 2 作成者:ソルエル・ウィアローク
……ルフィーリア。
最近、妙な胸騒ぎがしている。
研究所の論文がいくつも破棄され、トト支部の仲間が次々と姿を消している。
家族居住区にも不審者が出入りしている。
誰が何を狙っているのかは分からない。何が起きているのかも正確には理解できない。
僕は政治や利権のことには疎いから、ただ、研究を続けているだけなんだ。
でも──
“何か大きな力が、僕たちの研究を嫌っている”
それだけは、はっきりと感じる。
君が命を落とした理由も、僕が今こうして怯えている理由も、
もしかしたら同じ場所に繋がっているのかもしれないね。
この世界がどこへ向かうのか、僕にはもう見届けられないかもしれない。
だけど──
あの子が歩む道が、新しい世界の始まりであることを願う。
どうか、あの子を見守っていてくれ。
どんなに強くても、まだ年端もいかない女の子なんだ。
――✒️ **白銀歴1197年12月6日
何度操作しても、表示されるのは二ページ目だけだった。
「パパ、その前に何を書いたの?」
当然、返事はない。
「ママに、私の悪口とか書いてないよね?」
冗談を言ってみる。
それでも部屋は静かなままだった。
竹娘は小さく息を吐き、端末を閉じようとした時、公務内容の通知が入る
差出人:儀務閣《白イ三日月》
件名:【通知:公務】ルクスキョテナ府生活区視察:改革後の流通・医療支援状況の確認
本文:(続きを読む)
竹娘は通知本文を読み、少し首を傾げた。
「初仕事って…市場と地区診療所の視察? 近衛でも 騎士っぽい内容でも…ないんだ。」
青髪の女性猫獣人で王室のオペレーター、ミスティ・サブラがサポートしてくれるらしい。
といっても、イヤホン型の小型端末と天竹織羽に仕込んだカメラから拾う音声と映像を元に、必要あらばアドバイスをしてくれる、程度のものらしい。
であればと、メガネ型端末も希望したが、兎団 将萌に却下された。
『度なしメガネは規定違反だ。発覚した場合は、王室ファッション査問会へ連行する』
通知には、本人の発言としてそう記録されている。
冗談なのか、本気なのか。竹娘にはまだ判別できなかった。
続く注意事項は太字だった。
《民衆との交流を優先すること》
《問題を発見しても、単独で突入しないこと》
「……先回りされてる」
第二幕 新米騎士、街へ出る
白銀歴1204年9月29日(月) 9:23
星都独立領ルナルナ ルクスキョテナ府 ケイタナビオン市街
市場は、竹娘が予想していたより賑やかだった。
山積みにされた野菜。湯気を上げる総菜。客を呼び込む声。
旧政府時代には空いていたという区画にも、小さな店が戻り始めている。
「近衛さん、久々にヒノモト産の野菜が入荷したよ!」
野菜店の主人が、ネギを一つ差し出した。竹娘は受け取り、重さと香りを確かめる。
ミスティがイヤホン型の小型端末から、野菜の情報をさらっと話してくれる。
「それは九城ネギ(くじょうねぎ)。惑星テラ=プレアデスでも島国ヒノモトでしか栽培できないレアなネギ亜科ネギ属の長ネギにゃ。」
「凄い芳醇な香り。ヒノモト産は高級品のはず…。こんなに安く提供して良いんですか!?」
店主の顔が引きつった。
「あぁ。前は商品を運ぶだけで、訳の分からない認可料をいくつも取られたからなぁ。
これでも結構な粗利を取れてるんだよ。」
「じゃあ、少し値切って良いですか?」
少しの沈黙の後に、ミスティが制止しつつ補足をくれる。
「たけちゃん。そういえば九城ネギ、かぐや姫の英雄譚で味噌の材料になってるにゃ。」
「ネギを値切って……なんちゃって…冗談です。」
店主は、少しだけ表情を和らげた。
「いいんだよ。
こっちも“かぐや姫の末裔らしい反応”が見たくて、わざわざヒノモト産の野菜をネタにしたんだからさ。
あんた真面目だね。」
「それは……鈍感で申し訳ございません」
竹娘は頭を下げた。
ミスティが投げてくれた助け舟は、見事に彼女の横を流れていった。
「それと……さっきの認可料の件だけど、だいぶ減った。まだ全部じゃないがね。
必要だったら過去の支払い履歴を送るよ。これで王室に報告出来るかい?」
「何なら何までありがとうございます。」
竹娘は端末へ記録する。
「そういえば、王室は実質、暫定政府だろう? 都合の悪いことも書いて良いのかい?」
「はい。そのための視察です。都合のよい話だけなら、天宮城で作れますから」
同日 同市街地 13:10
次に訪れた地区診療所には、以前より多くの薬が並んでいた。竹娘は棚の一角だけが、不自然に空いていることに気づいた。
「支援予算は戻ったと聞いていますけど。」
医師は頷いた。
「ええ。一般薬は届くようになりました。ただ、特定の代謝異常に使う薬だけ、いまだに納入が止められています」
竹娘は納入記録を確認した。
「旧政府指定の業者が、製造権を握ったままですね。関係あるなら、遠慮なくお申し付けくださいね。」
そこに記された製造番号を見た瞬間、指が止まる。
数字と文字を組み合わせた小さな識別符号。父の研究資料で、何度も見た形式だった。
一方、竹娘の言葉を聞いて安心したのか、医師は堰を切ったように、ものすごい早口で旧政府への不満をまくし立て始めた。
「いやもう聞いてよ、予算配分おかしいでしょ? 大事な薬剤の供給止めてさ! なんであの無駄なアスクレピ何とか像っていう巨大モニュメントに税金突っ込むの?そのくせ現場の書類仕事は増やすし、ほんと意味分からん!あれ絶対、誰かの趣味か陰謀だよね!?税金泥棒どもがボケ倒してて、ツッコミ役が足りなさすぎるんだって、ぶぁああ!」
「たけちゃん?」
ミスティの声に、竹娘はハッと顔を上げ、彼女と小さな声で会話を始めた。
「ミスティさん、王室の記録に、この業者に関する物はあります?」
「王室には無いにゃ。でも旧政府から押収した資料にはあるかも分かんにゃい。」
「それ…閲覧できるようにしてほしいなぁ。」
「関連資料への限定的なアクセスを申請しとくにゃ。本日の公務報告提出と引き換えにゃ。」
きっちりしている。親しげな口調に反して、条件は抜け目がない。
「かしこまりました。」
竹娘は端末に製造番号を記録した。
表情は平静だった。
だが、視線だけはもう、診療所の棚を見ていなかった。
「しかもさっ!旧政府の広報が“医療現場の声を聞きました”って出した報告書に、“現場に問題はありません”って書いてあったんだよ!?問題の集合体なんだよ、医療現場は!!仕事したフリすらしねぇのかよ!!!」
完全に独り言と化した勢いで、医師の早口はまだ続いていた。
第三幕 暮らしに残る影
白銀歴1204年9月29日(月) 18:00
天宮城の執務室《創天の間》
兎団 将萌が竹娘の調査結果を元に参謀に指示を出していた。
「薬を待っている人がいるからな、他の調達ルートをあたってくれ。」
竹娘は九城ネギを丸かじりながら、その横顔を盗み見る。
もっと非情な人物だと思っていた。
少なくとも、薬を待つ人々のために声を荒らげる程度には熱いらしい。
自分ならどうしただろう。
(私なんて、私情と公務が同じ方向なら、まぁ良いですよね、くらいにしか思えないのに。)
けれど、今日聞いたのは資料の中の数字ではない。
父が生まれた国で、今を生きる人々の声だった。
竹娘がこれまで知っていたルナルナは、父の古い話と、告発資料の中だけに存在していた。
今日初めて、その国で暮らす人々の声を聞いた。
王室を信じている者。まだ疑っている者。
暮らしが少し楽になった者。変化が届くのを待っている者。
父が生きていた頃に、この国がこうして変わり始めていたなら。
そう考え、すぐに首を振った。
過去は変わらない。
だから、残されたものを調べるのだと。
同日夜 天宮城・王室図書館《月環書庫》
竹娘は、公務中に記録した製造番号を検索欄へ入力した。
表示されたのは、旧政府指定業者の納入記録。
その奥に、閲覧制限のかかった研究資料が連なっている。
《分類:代謝抑制薬》
《原料:漢方薬由来(ドルワナ産・シュウレン産)》
《前身研究:サピエンティア・トト支部》
《制限理由:既存製品との競合》
竹娘の笑みが消えた。
検索結果の中に、サピエンティア・トト支部の名があった。父の研究所だ。
原料は漢方薬由来。今どき珍しい。
さらに資料をたどると、研究停止命令が見つかった。
だが、命令に至った経緯も、正式な発令文書も削除されている。
開発を完了させたくない者がいた。そう考えれば、この不自然な空白にも説明がつく。
「競合している既存製品は、悪魔のカケラ由来かもしれない。出資者の記録は……」
さらにさらに関連資料をたどると、画面の隅に、見覚えのある署名と紋章が現れた。
今朝、身分証でも見た紋章。
自分へ新しく与えられた、“月京”の紋だった。
月京家に関する資料へアクセスしようとした次の瞬間、端末が警告を表示した。
《アクセス禁止:封印指定文書》
竹娘は、そこに浮かんだ膨大な資料の中でも、ある文書名に注目し、小さく読み上げた。
「……かぐや姫文書」
第四幕 月影に残されたふたつの欠片
白銀歴1204年10月24日(金) 天宮城 王室図書館《月環書庫》
この日、王室研修の最終課程《白銀歴1203年:無血倒閣および行政再建記録》を終えた竹娘は、
静謐な白銀の書架が並ぶ書庫へと立ち寄っていた。
「三衛王室の役割…治安維持の《警務庁:赤イ兎》、諜報の《密衛庁:青イ竹》、
そして外交・内務の《儀務閣:白イ三日月》の役割、それに…秘密組織との連携……もうお腹いっぱい。」
研修で明かされた王室の力は、竹娘の想定をはるかに超えていた。
腹の底が落ち着かない。王室は旧政府の封印を解こうとしている。
だが、そのためにどれほどの力を隠してきたのか。
携帯端末が鳴った。研修終了直後に、もう次の公務通知だった。
差出人:儀務閣《白イ三日月》
件名:【通知:公務】ヒノモト幕府内閣総理大臣・番長漁太郎、京都府長・オッキーナ重蔵との公式会談
本文:
■日時 白銀歴1204年11月9日(日)
05:00 天宮城より飛空艇で出発
08:30 惑星テラ=プレアデス テラ連合圏 島国ヒノモト 京都府 キヨミズ宙港入港
10:00 輝夜文化ホール(公式会談)■議題
・“かぐや姫ブランド”を用いた京都観光戦略の協議
・娯楽産業における技術提携(ヒノモト特撮技術 × ルナルナ映像技術)
(続きを読む)
「休ませる気、ないでしょ……」
画面を開いた竹娘は、議題に記された「かぐや姫」の文字で目を止めた。
公務は二週間後。それまでなら、個人的な調査へ回せる時間もある。
竹娘は肩をすくめ、苦笑を漏らした。
それでも、その瞳には配属前よりずっと強い光が宿っている。
最たる理由は、一ヶ月弱前に申請した機密解除がようやく通り、王室ですら全てを閲覧・解析できなかった旧政府押収資料──
三千万ページに及ぶ“封印指定文書”へのアクセスが開かれる日だったからだ。
竹娘は、白イ三日月の庶務官に教えられた通り、書庫の端末を操作する。
もちろん目当ては《かぐや姫文書》。
(そういえば、彼女をモチーフにした御伽話《月哭譚(げっこくたん)~平安輝夜恋綺乱(へいあんかぐやれんきらん)~》はあれほど有名なのに、
生前の記録のほとんど…顔写真一つすら残ってないんだよね。)
竹娘は息を呑み、文書を隅々まで確認した。
しかし、かろうじて復元できたのは、二つの記録の断片だけだった。
一つは、かぐや姫がヒノモトで従事した、ある作戦の記録。
もう一つは、計画の全容どころか、その目的すら読み取れないほど破損していた。
《深淵五宝奪取計画(A・クインクス)白銀歴4年4月22日(火)始動》
概要
《任務目的:■■■■(政府指定)》
1. 航行記録
《航路:惑星ルナ=クラリオン → 惑星テラ=プレアデス圏内 島国ヒノモト》
《降下地点:平安京郊外(Q2F-9ZK-1M)》
《地表に異常反応:霊物因子の高濃度域》
《接触対象:■■■■》
《交戦記録:破損》
2.地表活動記録
《地表降下:成功》
《現地勢力との接触:平安京:■■■■》
《回収物:分類不能物質 3個 》
《未回収:分類不能物質 2個 》※備考:未回収2個に関する記録は破棄
《処置:政府管理下へ移送後、■■■■に引き渡し》
3.帰還記録
《帰還時刻:白銀歴4年10月27日(月)》
《遺体損傷率:42%》
《代理人証言:未回収2個こそが別働隊の“本命”だった。(詳細破損)》
4.最終ログ(最適化版)
《任務評価 :■■■■》
《政府報告書:封印指定》
《未回収 :記録ごと破棄(■■■■)》
《閲覧権限 :王室には秘匿。政府内にも■■■■》
《備考 :ヒノモトに残存可能性あり》
黒塗りに見えた箇所の大半は、秘匿処理ではなくデータの破損だった。
それでも断片同士はつながる。
回収された三個は、当時のルナルナ政府が押収した《悪魔のカケラ》と特徴が一致している。
残る二個もカケラなのか。
それとも、記録ごと消す必要がある別の何かなのか。
竹娘は帰還記録で指を止めた。
《遺体損傷率:42%》
「……遺体?」
かぐや姫は、ヒノモトから生還したのではない。遺体として帰還した。
少なくとも、この記録はそう読める。
さらに最終ログには、ヒノモトでの残存可能性が記されていた。
未回収の二個を指すのなら、千二百年を経た現在も、地表に残っている可能性がある。
《深骸真胚生成計画(A・カイハイ=Ω)白銀歴1149年4月5日(日)始動》
1.計画目的
真胚階:骸織(むくろおり)の製造
・コードネーム:幽哭AX-Ω_■■■■2.前段階成果(失敗記録)
傀胚階:屍偶(しぐう)
・幽哭YH01_TADAYUKI →失敗
・幽哭YH02_MUSASHI →失敗
※素体の本来能力を引き出せず3.製造過程ログ
補填対象部位:寄生魔獣反応不全により再構成不可
4.保《記録途絶:以降データ破損》
その先に何が記されていたのか、確かめる方法はなかった。
それでも、「製造」「素体」「補填対象部位」という語だけで、何を試みていたかは想像できる。
竹娘は続きを推測するのをやめ、端末を閉じた。
計画が失敗して終わった保証はない。
保留されたのか、別の場所で続けられたのか。それすら記録からは分からなかった。
竹娘は端末を閉じ、深く息を吐き、航行記録に不自然に残されていた《Q2F-9ZK-1M》を見つめた。
「この時代、ルナルナでは簡易暗号 Grid-36 が警察や軍でよく使われてたよね。その星の座標を36進数に変換しただけだから──」
竹娘は指先で空中に小さく数字をなぞりながら続けた。
「逆算すれば――」
・緯度:34.8101°
・経度:135.7702°
解読された座標は、惑星テラ=プレアデスの島国ヒノモトの京都府の竹林を示していた。
竹娘は地図を拡大する。近年まで同じ家系が所有していた土地であり、御伽話《月哭譚》では、かぐや姫と老夫婦が出会った場所とされている。
偶然にしては出来すぎていた。
千二百年前の任務の全容は、もう失われているのかもしれない。それでも、記録が座標を残している。
未回収の何かが地表に残っている可能性も、まだ消えてはいない。
ならば、現地で確かめる。
「……罠かな?」
竹娘は一秒だけ考え、笑った。
「でも私、怖いものほど先に触る派なんだよね」
携帯端末を開き、ヒノモトへの入国申請を選択する。
《ルナルナ王室・特使入国申請ポータル》
■申請者 選択
月京 竹娘(つきのみや たけのこ)/所属:儀務閣《白イ三日月》/身分:王室特使・外交随行
■申請区分 選択
特使入国(王室権限・第七級)
※空港経由なし/プライベート航宙艇運用許可を含む
■入国先
惑星テラ=プレアデス テラ連合圏/島国ヒノモト
■期間
白銀歴1204年11月1日(土)~1204年11月9日(日)
■入国目的 および 要求事項記載
・目的:かぐや姫文書「深淵五宝奪取計画(A・クインクス)」内 《未回収:分類不能物質 2個 》の現地調査
・希望:公務は当日現地集合にて、宇宙船は私がオーバーホール・外装変更した機体を使用希望。
▼申請内容を確認し、送信してください
【送信】 【修正する】
空港経由は避けたい。自分の宇宙船を使えるなら、調査地点へ直接向かえる。
竹娘は希望条件を入力した。通るとは思っていない。
差し戻されたら期間を縮め、それでも駄目なら目的地を限定して再申請するつもりだった。
十二分後、端末が鳴った。
《入国申請:承認済》
申請者:月京 竹娘(儀務閣《白イ三日月》)
申請区分:特使入国(王室権限・第七級)
入国先:惑星テラ=プレアデス/島国ヒノモト
期間:白銀歴1204年11月1日(土)~11月9日(日)
上記申請は《白イ三日月》により承認されました。
■補足事項
・入国までの飛行経路は警務庁《赤イ兎》が管理し京都府庁に提出
・必要に応じ、密衛庁《青イ竹》が随伴支援を実施
・コメント:公務に遅刻しないと信じております。 王妃・天峰 笹真貴
竹娘は表示を二度読み直した。
「早っ。いいの?」
父の研究。かぐや姫。未回収の二個。そして、京都の竹林。
何が待っているかは分からない。
それでも、初めて自分で選んだ“月京竹娘”としての旅だった。
「いざ行かん、ヒノモトへ!」
その声は軽やかだったが、その瞳には確かな決意が宿る。
こうして、まだ誰も知らない合戦が幕を開けようとしていた。
「月影に残されたふたつの欠片」完
←前の物語へ:「影光転義」
→次の物語へ:「竹取合戦」
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